PROJECT.01PROJECT.01まちのり

業 種 社会事業本部 計画研究室
クライアント 金沢市

金沢市中心部の新たな公共交通として、平成24年3月24日にスタートした金沢市公共レンタサイクル「まちのり」。北陸新幹線金沢開業後における二次交通の充実や、市民の利便性向上、まちなかの賑わい創出、マイカー利用から自転車への転換による環境負荷低減などを目的に導入しました。「まちのり=街の利」をコンセプトに、単なる移動手段にとどまらず、人と人、あるいは人と街をつなぐ新たな“コミュニケーション・ツール”として、まちなかの観光振興や活性化など、多様な役割を担っています。

「まちのり」は、一般のレンタサイクルとは異なり、20箇所のサイクルポートやまちのり事務局のどこでも借りられて、どこでも返せるサービスであり、「コミュニティサイクル」や「自転車シェアリング」とも呼ばれるものです。実施主体は金沢市、運営主体は株式会社日本海コンサルタントという、公設民営の事業で、平成23年度に運営事業者を決定するためのプロポーザル(企画提案競争)が行われ、全国各地から6つの事業者が参加して競い合った結果、見事弊社が運営事業者としての役割を勝ち取りました。建設コンサルタント会社がこのような事業を運営している事例は全国的にも少なく、「プランナー」や「エンジニア」としてだけでなく、まちの「プレイヤー」としても職域を広げています。弊社は、「まちのり」の企画、計画、設計、施工、管理運営のすべてに関わっており、システム開発会社、電気工事会社、イベント会社と連携しながら、日々のサービスを提供しています。今後も、人のため、街のために、「まちのり」を活用した取組みを展開していきます。

サービス概要
運営時間 貸出:7:30-22:30(15時間)
返却:24時間可 ※まちのり事務局での貸出・返却は9~19時まで(冬期は18時まで)
対象 身長140cm以上の方
自転車 155台(新車20インチ)
駐輪機器 252台
路上端末機 20台(1台/箇所)
ポート数 20箇所(事務局を含め21箇所) ※どこでも貸出・返却が可能
料金 ①基本料金:200円/日、1,000円/月、9,000円/年
②追加料金:1回30分を超過すると30分毎に200円
管理方法 無人・集中管理(事務局は有人対応)
料金収受
個人認証
①クレジットカードの場合
手持ちICカード/まちのりICカード/パスワード(1日利用のみ)
②現金の場合
レンタルICカード
※まちのり事務局やホテル・コンビニ等の提携窓口で提供(施設利用者限定)

まちのりサイクルポート

  • 自転車の貸出、返却を行う拠点
  • まちなかの20箇所に配置
  • クレジットカードがあればどのポートでも登録・利用可能
  • タッチパネルは5か国語対応
  • 貸出時はICカードやパスワードで自転車を解錠、返却時は駐輪ラックに入れるだけで自動ロック

まちのり事務局

  • まちのりに関する総合受付窓口
  • 金沢駅東口から徒歩3分
  • 有人対応で、現金での利用も可能
  • コールセンターや観光案内所、手荷物預かり所としても活躍
  • 電動アシスト自転車「まちのりハイブリッド」もレンタル可能
  • まちのりグッズも販売

自転車の再配置

  • 自転車が一部のポートに偏ると、再配置スタッフがトラックで不足するポートへ運搬
  • 平日や休日、時間帯、季節等を考慮しながら、自転車の動きをシステム上でリアルタイムに把握し、効率的に自転車を配置してサービスレベルを確保

北陸新幹線開業後の様子

  • 平成27年3月14日に北陸新幹線金沢開業となり、まちのりユーザーが急増中
  • 登録や利用のために行列ができることもあり、規模の拡大やサービスレベルの向上が今後の課題

FLOWFLOWプロジェクトの流れ

  • 2009年、自転車シェアリングの先進地、フランスを視察。パリやリヨンで世界最先端のシステムを体験し、来るべき提案の時に向けて準備を進めました。
  • 2010年、金沢市の委託業務として公共レンタサイクル社会実験を実施。この時、「まちのり」が誕生。サイクルポート10カ所、自転車100台で2か月間の実験を行い、好評のうちに幕を閉じました。
  • 2011年、本格実施に向けたプロポーザルの結果、弊社が運営事業者に決定。㈱ペダルとともに、システムの詳細や自転車を試行錯誤しながら決定。準備期間が半年間しかなかったため、自転車のパーツは中国の工場に出向いて決めるなど急ピッチで準備を進めました。スタッフの努力の甲斐あって、他にないオリジナルシステムが完成。
  • 2012年、自転車や機器類の製造を開始。金沢市内の大きな工場に搬入し、組み立てや動作確認を実施。2月の極寒の気候の中、期待と不安が入り交じる中、関係者の協力を得ての準備となりました。あわせて、まちのり事務局を先行オープン。事前PRをスタートさせました。
  • 2012年2月、調整を終えた機器類の設置を開始。18箇所のサイクルポートに駐輪機器や路上端末機を設置しました。自転車の出し入れを何度も行い、動作に問題がないことを確認。新聞やテレビ等のメディアでのPRも積極的に行いました。
  • 2012年3月24日、まちのり出発式を挙行。山野之義金沢市長や弊社の黒木康生社長もテープカットに参加し、いよいよサービス開始。初日から多くの利用があり、順調な滑り出しとなりました。
  • サービス開始から毎年着実に利用が増加。2015年3月には、年間10万回利用を達成しました。
  • 2015年3月より、北陸新幹線金沢開業にあわせて自転車を一斉に更新。全国や首都圏のメディアにも取り上げられ、利用者が飛躍的に増加し、個人利用の公共交通として定着しました。

MEMBERMEMBERプロジェクトに関わった社員の声

社会事業本部 計画研究室担当グループ長 /片岸 将広

「まちのり」は、北陸新幹線開業を見据えた公共交通手段の一つとして提案・実現した事業。国内に先行事例がない中で、一つひとつ計画を積み上げていくのにはとても苦労しましたが、その分手応えも大きかったですね。建設コンサルタントがこのようなソフト系の事業を運営することは全国的にも珍しいこと。だからこそ、例えばまちのり利用者には、市内に20カ所あるサイクルポートの周辺店で優待が受けられるようにするなど、自転車と他のまちづくりの仕組みを連動させてより一層地域を元気にするという「まちのり=街の利(まちのため)」になる取組みを積極的に展開していきたいと思っています。

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